銭湯で人を見ていると、本当に身体というのは一つとして同じではないことがわかります。
その中から共通項を見つけ出していくことも大事ですし面白いのですが、まずは関節という動きの装置、美の装置そのものを見てほしいと思います。
腰に角度があるということも知ってほしいですし、膝の使い方や足首の曲げ方に無数のバリエーションが存在することも認識してほしい。
例えば、身体を洗っている人を観察してみましょう。
腰かけに裸で座るその姿は、特に美醜の差がはっきりと出ています。
美しい人はまず腰の角度が違います。腰に角度があることを実感できるチャンスは日常生活ではあまりありません。この先、私は「腰が立っている」とか「腰が寝ている」とか書くことがあると思いますが、そのイメージは銭湯で人の身体を見ることで良くつかんでもらえると思います。
キレイな座り方をする人は腰を立てています。つまり地面に対してほぼ垂直に保っているのです。そして股関節を柔らかく曲げています。
逆に、美しく感じられない人は股関節が伸びていて、そのぶん腰を寝かしています。重心は微妙に後に下がり、それを補うように背中のカーブをきつくして上半身を前へ持ってきています。たまに腰を寝かしつつも、背骨のカーブをキレイに保つために腹筋で上半身を支えている人も見かけますが、多くの人はお腹に皺が寄って何となく苦しそうに見えます。
私は少し前までこういう苦しい座り方をしていました。身体を洗い終わって立ちあがる頃にはお腹にスジが残るような座り方です。腰を寝かせた座り方に慣れ過ぎていたので、意識的に腰を立てた座り方をすると、お尻の骨が座面に当たって痛いのです。
しかし、股関節をしっかり曲げれば膝の方に体重を預けることができるということを発見して以来、筆者の座り方は改善されました。その方が身体に負担がないと実感できたのです。座った状態では、重心は前方ぎみにあったほうが身体は安定するのです。
関節を曲げることで重心が移動するというのは重要な事実です。
身体の使い方がうまい人は、関節によって重心をスムーズに移動させています。
重心の下に位置する股関節や膝、足首をそういう目で見てみてほしいのです。
これはキレイな立ち姿勢に注目すると、簡単にわかることなのですが、安定感のある身のこなしをする人はしっかり足首や膝を使っています。ブレの少ない人の動きを見ていると、振りかえったり、方向を変える直前に、自然とどちらか片方の足首を曲げてつま先に体重を乗せる瞬間があるのです。彼らはそこでバランスの崩れを吸収し、なめらかに重心の移動を行う準備をしています。
次の章では、関節のもう一つの大事な働き、「回転」について述べようと思います。
関節は曲がることでラインを作り出しバランスを保っていますが、さらに「回転」することで動きに方向性を持たせています。
キレイに関節を「回転」させることを意識できるようになれば、より豊かで自由度の高い身のこなしが可能になります。
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